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サテュリコン

書斎の本棚(小)。

「サテュリコン」ペトロニウス 国原吉之助訳 岩波文庫 1991年9月10日 2刷 670円

多分、新刊で購入したのだと思う。

本書は、古代ローマの風刺小説。描かれているいろんなことが享楽的すぎて、本書で描写される食も性もみだらにしか感じない。文学性の高さと鋭い風刺が融合した作だと言われているが、私には、なんとなく不快な読書だったという思い出しかない。

しかし、それは私の読み方が悪いのであって、ペトロニウスのせいではないのかもしれない。
私は、本書の中の一章、「トリマルキオンの饗宴」だけが目当てで買ったのだ。最初から、偏った読み方をしようとしている読者だったのである。

実は、子供の頃から「トリマルキオの饗宴」というタイトルの本(青木書店刊)を探していて、一向にそれに出会うことができなかった。
ところが、二十歳をとっくに過ぎてから、「トリマルキオ」は、「サテュリコン」の中の一部だと知った。そこで、私は「サテュリコン」をば買ったのである。

私が読みたかったのは、「トリマルキオ」の中の、ほんの一部だけなのである。本書で言うと、たった7ページ分だけが、私の目当てだったのである。

「トリマルキオ」の中で、ニケロスとトリマルキオが、それぞれ、狼男と吸血女について話すところがある。私は、そこだけを読みたかったのである。(私がこの記事を「吸血鬼」カテゴリに分類しているのはそのためである)
せっかく一冊の本を買っているので、目当ての7ページ分以外も全部読んだのだが、これがもう、私にはまったく面白くなかった。ただ、雰囲気だけは、「古代ローマだねえ」というものを堪能できたと思う。

面白くはなかったし、なんとなく不快だし、すでに買ってから20年以上たったために、内容はほとんど忘れ果てている。本来なら処分箱行きになってもいいところなのだが、そうならないのは、私が例の「7ページ分」を手放したくないからである。この7ページ分は、なんと言うことも無いさらっとしたエピソードなのだが、吸血鬼ファン的には捨てがたいものなのだ。何しろ、2000年近く前の小説に現れた吸血鬼の姿をおがめるのである。


草月カリキュラム1234

書斎の本棚(中)。

「草月カリキュラム1234」勅使河原宏監修 草月出版 1984年10月8日 初版 2,400円

去年か一昨年に、アマゾンで購入。200円だか300円だかだったように記憶する。実を言えば、私は本書を自分で買う気はあまり無かった。なぜなら、自分が助手を務める先生のところで、いつでも見ることができるからである。

本書は、草月流の稽古で使われる教科書の、サブテキストという位置づけの本である。それも、教科書を習っている人用の参考書というよりは、指導者向けの解説本である。(熱心な初心者が読んでももちろんかまわないが)
学校の先生が持っている指導用テキストみたいなもの、と言って良いと思う。

確かめたわけではないが、本書は、すでに草月流からは買えなくなっていると思う。いつからか見かけなくなったので、ずいぶん前に絶版になったよね?と思っている。(わずかに残ってたりしたらゴメンナサイ)
なので、最近の若い先生たちは、あまり持っていないかもしれない。しかし、出版された時点で、ある程度の規模の教室を運営していた先生なら、基本的には持っているような本である。

私は、自分では持っていなかったときから、
「懇切丁寧な指導テキストだなあ」
と思っていた。
この本、超実践的で、とにかく痒いところに手が届くのである。指導者が感じる、初心者向け指導の「困ること」「迷うこと」のほとんどに言及していると言っても過言ではない。それが、平易な言葉で、辛抱強く語りかけるように解説されていて、経験豊富な人に直接語られているような説得力がある。

これは、編集段階で練りに練ったな、と思う。写真掲載が多いと言えど、255ページにわたる濃い口の解説を、この丁寧さで作ったら、まとめるまでに難航したことと思う。

これだけ行き届いた指導テキストだが、これが無いと指導はできない、とは言えない。現に、本書を持たずに開講している先生は多いはずだ。
私個人の考えでは、「自分の教室を持っていて、本書に興味があるなら、持っていて損は無い」と思う。指導していても、本書に何にも興味ない、と言う人は、持ってなくても大丈夫と思う。そして、流の公式文章にがんじがらめにされる自覚がある人は、むしろ避けたほうが賢いかも。本書は、細かすぎるタイプの指導書なので、人によっては振り回されるかもしれない。(私は役に立ったことの方が多いけど)

私は、上記のように、先生のところで見放題なので、本書を買うつもりは無かった。それを、つい買ってしまったのは、アマゾンで安く出ているのを見てしまったからだ。
私は、こんなものがアマゾンにあるとは思わなかった。古書のリアル店舗で、本書を見たことなんて無いからだ。普通なら、クズ本として処分対象になるはずだ。
アマゾンの、どの店だったか忘れたが、ダメモトで出したに違いないと思う。



草月流 (オールカラーいけばな全書)

書斎の本棚(中)。

「草月流 (オールカラーいけばな全書)」勅使河原蒼風/勅使河原霞 小学館 昭和51年2月10日 3刷 1,800円

某所より頂戴した。
オールカラーいけばな全書シリーズは、主要いけばな6流派のものが出ており、つまり全6冊である。
私は、このうちの「草月流」だけ持っている。

内容は、かなり初心者向きに丁寧に作られている。具体的な生け方の手順、流派独自の考え方、流派の歴史、技法、用語、花材事典など、草月流のことが一通り載っていると言ってよい。
ほかの流派の本はどうなっているのか知らないが、多分、同じような内容ではないのかと思われる。

入手して、「草月門弟なら、持ってていい本だな」と思った。しかし、特にこれを探しまわって入手することもないかなと思う。同じような用途で出版されている草月流の本はほかにもあるので、入手しやすいものを一冊持っていたらいいのではないだろうか。
ただし、蒼風・霞の作品写真を、少しでも多く手元に持っておきたいと思うなら、見つけたときにゲットすると良いと思う。
写真の点数が多いし、ハードカバーのしっかりしした本なので、写真がきれいなのである。この時代よりも、もう10年くらい昔の本だと、絶望的に「古い写真特有の不自然色」の作品写真になってしまうものだが、本書はそうではないのだ。

本書を見て、
「そういえば、最近こういういけばな書はあまり見なくなった気がする」
と思ったのは、メインが「写真集形式」ではなくて、「料理本形式」であることだ。
きれいな写真で載っている作品の、メイキング画像つきなのである。最近は、大判でちょい高のいけばな写真たっぷり本で、この形式は珍しい。
なにげに、いけばな本の作りにも、流行と言うものがあるのだと感じた。



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プロフィール

Author:静草
本好き。特にミステリ、幻想、吸血鬼関係を大好物としています。
ミステリの中ではエラリー・クイーンとウィリアム・アイリッシュが好き。

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