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黒いカーテン

書斎の本棚(小)。

「黒いカーテン」ウイリアム・アイリッシュ 宇野利泰訳 創元推理文庫 1977年1月14日 19版 200円

新刊で購入。(うわー、あの頃は、文庫本一冊、薄いといえども200円で買える時代だったのだなあと思ってしまった)

多分、小5か小6で買った本である。
私は、再三書いているように、「夜は千の眼を持つ」(の児童書)を10歳で読んでアイリッシュの虜になり、いまだに虜になりっぱなしなのだが、「カーテン」は、私が一番最初に読んだ「アイリッシュの大人用の本」だと思うのだ。
「夜は」を読んで、ちゃんと大人の文庫本でほかのアイリッシュ作品を読もうと思い、本屋で探してみて、アイリッシュの長編の中では一番薄い本書を、「安いし、すぐに読めそう」という理由で選んだのだと思う。

いや~「カーテン」はよかった。
「夜は」でアイリッシュへの期待値がありえないほど上がった状態で読んだはずだが、私は1ミリも裏切られはしなかった。アイリッシュは、偉大な作家である。

「カーテン」には、好きなシーンが山ほどある。スリル、サスペンス、ペーソスをふんだんに盛り込んだ物語だ。
一番好きなのは、謎の追跡者に家に踏み込まれるシーンと、ラストの、過去との決別のシーンだ。

ラストシーンは、本書を子供の頃に児童書で読んだという知人と話がまったく通じず、じっくり膝つき合わせて確認したところ、「子供用の本では、あの人の死は描かれないのだ」と知って呆然としたことがある。てゆーか、「あの人」の性別が変わっていて、その理由に気がついて「なるほど!」と思ったりしたものである。う~ん、児童書は恐ろしいのう。

また、私が本書を読んで子供心に一番びっくりしたのは、主人公が会社を退職するシーンだったりする。
主人公は、会社の受付の女の子に電話で、
「僕はやめるんだ」
「いなくなっちゃうの? つまんないわ。そのこと、社長に言ったの?」
「まだだけど、退職届けを送るつもりだよ」
こんなやめ方なのである。日本なら、ありえない退職の方法である。
私はこのシーンで、はーーー、アメリカだなーーと思ったのだ。

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Author:静草
本好き。特にミステリ、幻想、吸血鬼関係を大好物としています。
ミステリの中ではエラリー・クイーンとウィリアム・アイリッシュが好き。

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